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恐竜図鑑展2023 

レポート

 

▼特別展 恐竜図鑑 | 失われた世界の想像/創造 レポート2

  •  ■上野の森美術館・特別展/過去200年のパレオアートが世界から集結!

コンテンツ

1.恐竜誕生
黎明期の奇妙な怪物たち
2.古典的恐竜像の
確立と大衆化
3.日本の恐竜受容史 4.科学的知見による
イメージの再構築
/おみやげコーナー
■徹底レポート! 「特別展 恐竜図鑑 | 失われた世界の想像/創造」・2〜古典的恐竜像の確立と大衆化〜

続く2つ目のテーマは「古典的恐竜像の確立と大衆化」ぞよ!
巨大なイグアナの怪獣と考えられていたイグアノドンだったが、
1878年〜80年にかけてベルギーの炭鉱で新たな化石が30体以上も発掘され、大きく復元図を修正される事となる。

1870年代から90年代にかけて、北アメリカ大陸で
エドワード・ドリンカー・コープとオスニエル・チャールズ・マーシュと言う二人の古生物学者が
恐竜化石発見を巡って激しい争奪戦を繰り広げた「化石戦争」が勃発した結果、
おびただしい量の恐竜化石が発見され、古生物の多様性がしだいに明らかになっていったぞよ。
これらを復元図に起こし、人々の前に明確なビジョンとして提示する事で、恐竜のイメージ向上に大きく貢献した功労者こそ、
アメリカの動物画家、チャールズ・R・ナイト。
そして、それに続くチェコスロバキアのズデニェク・ブリアンであった。

レオン・ベッケル
「1882年、ナッサウ宮殿の聖ゲオルギウス礼拝堂で行われたベルニサール最初のイグアノドンの復元」
1884

メガロサウルスと並んで最初の恐竜とされるイグアノドン。
新たな化石群が発見された事で、シルエットが大きく正される結果となった。

チャールズ・R・ナイト
「ステゴサウルス」
1901
古生物美術の歴史上最初の専門画家・チャールズ・R・ナイト。
古生物の復元図において、後世に最も影響を与えたアーティストと言われ、
彼の描く恐竜はそれ以前のものと比べると明らかに生物としてのリアリティがあり、
現代の恐竜像の源流とも言えるものになっている。

チャールズ・R・ナイト
「アガタウマス・スフェノケルス(モノクロニウス)」
1897
ナイトの描く恐竜は一般大衆に強烈な印象を残し、
「ロスト・ワールド(1925)」や「キング・コング(1933)」などの映画に登場する恐竜も、ナイトの影響が強く見られる。

チャールズ・R・ナイト
「ジュラ紀―コロラド」 1931
「ペルム紀―テキサス」1931

ディメトロドン!
きゃきゃきゃきゃんわっ!!

チャールズ・R・ナイト
「ドリプトサウルス(飛び跳ねるラエラプス)」
1897
ナイトの初期の代表作のひとつ。
ティラノサウルス上科のマイナー恐竜だが、この絵によって当時の人々に広く知られる事となった。
バンダイのプラモ「イマジナリースケルトン ティラノサウルス」が飛び跳ねたポーズをしていて良くも悪くも話題を呼んだが、
この絵がイメージのもとになっていると思うぞよ。

チャールズ・R・ナイト
「ジュラ紀―ユタ」
「白亜紀―モンゴル」
「三畳紀―南アフリカ」
「ジュラ紀―ドイツ」
ナイト最大の傑作と言われるフィールド自然史博物館の壁画の為の下絵スケッチ群。

「ジュラ紀―イングランド」
以上制作年不詳

チャールズ・R・ナイト
「白亜紀―アルバータ」
1931

チャールズ・R・ナイト
「白亜紀―カンザス」
1921

チャールズ・R・ナイト
「白亜紀―モンタナ」
1928
完成版は29枚もの壮大な連作壁画となったが、特に注目なのはこのティラノサウルスとトリケラトプスが向かい合う一枚。

この絵こそ、ティラノとトリケラが永遠のライバル関係を宿命づけられた切っ掛けぞよ!

これだけとっても、ナイトが後世に与えた影響の絶大さがわかるというものだ・・・。

ナイトとブリアンが交差する一角。

スデニェク・ブリアン
「シルル紀の海の生き物」
1951
ブリアンもまた、ナイトと双璧を成す20世紀を代表するパレオアーティストの一人である。
もともと本の挿絵を描いていたが、1935年に古生物学者・地質学者のヨゼフ・アウグスタと出会った事を切っ掛けに、
古生物絵画の制作を中心に活動する様になっていった。

スデニェク・ブリアン
「ダンクルオステウスとクラドセラケ」
1967
ブリアンとアウグスタのコンビは1940年〜60年代の長きにわたり、様々な関連本を出版。
これが翻訳され世界に広まった事で、古生物の認知に大きく貢献した。
日本においても、1960〜70年代の児童書などでブリアン作品の転載や模写が氾濫し、
古生物のイメージを決定づけたとされているぞよ。

スデニェク・ブリアン
「ディメトロドン・リンバトゥス」
1065
ディメトロド〜ン・・・こいつは結構骨格そのまんまだし、昔からイメージが洗練されているぞよね。

スデニェク・ブリアン
「ステノプテリギウス・クアドリスキッスス」
1964

スデニェク・ブリアン
「プレシオサウルス・ブラキプテリギウス」
1964
穏やかな日差しの中、古生物達が活き活きと暮らしている様は、絵画としても印象深く、豊かな味わいがあるぞよ。

スデニェク・ブリアン
「アントロデムス・バレンスとステゴサウルス・ステノプス」
1950

スデニェク・ブリアン
「コンプソグナトゥス・ロンギペスとアーケオプテリクス・リトグラフィカ」
1950
始祖鳥ともよばれるアーケオプテリクス、ブリアンは青をメインに描いている。
古生物の色は、化石からわからないと言うのが常識である為、恐竜をどんな色で描くかは作家の想像力に委ねられているのだ。
しかし、こと始祖鳥だけは唯一異なる。。
2012年、化石から羽毛の痕跡を解析した結果、メラノソームと言うメラニン色素が入った粒が発見された。
これを詳細に調べたところ、ほぼ確実に黒であった事が判明。
そう、始祖鳥は黒かったのだ!
まさか未来の技術で古生物の色がわかるだなんて、ブリアンは想像もしなかっただろう・・・。


スデニェク・ブリアン
「アパトサウルス・エクセルスス」
1950

そして本展覧会のポスタービジュアルもここで登場する。

明らかに怪獣然と描かれたこの姿は・・・っ!?

スデニェク・ブリアン
「タルボサウルス・バタール」
1970

スデニェク・ブリアン
「イグアノドン・ベルニサルテンシス」
1950
「ジュラシック・パーク」以前の恐竜のイメージとして象徴的な2枚ぞよ。
わたくしがごく幼い頃も、ギリこの様な体系の恐竜玩具が残っていた気がするが、現代ではとんと見かける事がなくなった。
最近は子供向け恐竜玩具もリアルですからね!


スデニェク・ブリアン
「プテロダクティルス・エレガンス」
1967

スデニェク・ブリアン
「トリケラトプス・プロルスス」
1962
ややイグアナのイメージを残したトリケラトプスだ。

スデニェク・ブリアン
「ティロサウルス・ディスペロルとエラスモサウルス・プラティウルス」
1963
こちらも昔ながらのイメージの首長竜。

スデニェク・ブリアン
「ランフォリンクス・ロンギカウドゥス」 1941
「ディプロドクス・カルネギイ」 1941
「マストドンサウルス・ギガンテウス」 1955
「ユーリノサウルス・ロンギロストリス」 1941

スデニェク・ブリアン
「プテラノドン・インゲンス(海上の群れ)」
1960

会場の様子。

マチュラン・メウ
「プテロダクティルス」
1947
豪華客船ノルマンディ号の内部装飾を手掛けた事でもしられるマチュラン・メウ。
彼の描いた翼竜は、コウモリの様にぶら下がっているものがあるが、
これはオーストリアの古生物学者オテニオ・アーベルの著書「古代脊椎動物の歴史と復元方法」を参照したものだという。

20世紀の恐竜画のうち、ナイトやブリアンと並んで有名なものに、パーカーのグアッシュ作品がある。

ニーヴ・パーカー
「イグアノドン」
1950
「イラストレイテッド・ロンドン・ニュース」に掲載された古生物画が大きな反響を呼んだ。

ニーヴ・パーカー
「ヒプシロフォドン」
現在では否定されている木登り恐竜として復元されたヒプシロフォドン。

ニーヴ・パーカー
「ティラノサウルス」
1950
これもジュラパ以前のイメージのティラノだ。

恐竜の復元図は日々更新されているのだ。

ニーヴ・パーカー
「メガロサウルス」
1950

テオドール・ライヒャルト・カカオ・カンパニー
「太古の動物」
1916

当時チョコのおまけのトレカとして人気を博した恐竜イラストたち。

いつの時代も、子供達は恐竜に夢中だったぞよ!

ハインリヒ・ハーダー
「ディプロドクス」
チョコのふろくと侮るなかれ、古生物の生態が雰囲気たっぷりに描かれており格好良い・・・が!!
なかにはやはり珍妙なものも混じっている。

F・ジョン(ハインリヒ・ハーダー?)
「ブロントルニス・ブルメイステリ」
ハドロサウルス類と戦う巨鳥ブロントルニス。
この二つは生きた時代が大きく異なるから、でたらめな絵ぞよ。


3ページ目へつづく→





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