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大哺乳類展3−わけてつなげて大行進(2024) 

レポート

 

▼上野で哺乳類の大行進を見よう! 大哺乳類展・徹底レポート!!

  •  ■春の上野・国立科学博物館

コンテンツ

 
 
第1章
哺乳類とは編
第2章その1
原獣類/有袋類/アフリカ獣類/異節類編
第2章その2
ユーアーコンタグリレス/ローラシアテリア編
第3章
わけてつなげて大行進編
第4章
哺乳類の分け方−過去から未来へ
科博巡り編
おみやげコーナー編
■第1章〜哺乳類とは編

巷では「冒険大陸アニアキングダム」セレクション放送が最終回を迎え、
「シンカリオン チェンジ ザ ワールド」が放送開始した2024年4月第2週・・・
アニメのシーズンが入れ替わってゆくように、桜の花も緑に染まりゆく兆候を見せるこの季節に、
わたくしは上野公園へとやってきていた・・・!

そう、今、上野の国立科学博物館では「大哺乳類展3 -わけてつなげて大行進」という催しが開催中なのだ!
2024年3月16日〜6月16日まで開かれるこの特別展は、大好評を博した2019年の「大哺乳類展2」より5年ぶりの登場となるもの。
今回は「分類=わける」と「系統=つなぐ」をテーマに、
見た目や内部の特徴、DNAなどをもとに哺乳類の関係性をグループ分けし、その秘密に迫る・・・と言うもの。
こと恐竜の事となれば、博物館を1日見物し、専門家の書いた文庫本の一冊でも読めば
ティラノサウルスとトリケラトプスの事くらいはいっぱしに語れるようになるものだが・・・
これが哺乳類となると意外と難しい・・・!
わたくしは哺乳類のことをちっとも知らない・・・!
という事で知識を深めるべく足を運んだワケぞよ。

かなり専門的な内容っぽくてなかなか敷居が高く感じられる「哺乳類展」だが・・・
目玉の展示として披露され、ポスターのイメージビジュアルにもなっている「哺乳類大行進」は、
陸と海の哺乳類合わせて200点の標本からなる大行進であると言うから目にも楽しそうだ。
中にはわたくしの大好きなカモノハシちゃんとキボシイワハイラックスちゃんも混じっているというから、
ちんぷんかんぷんでもせめてそれだけ見て帰れば入場料の2100円(子供600円)くらいは元が取れるであろう・・・!!
という事で今回レポートもかなり専門的な内容になって、
おろかなにんげんどものニジイロクワガタのようにつるつるでちっちゃな脳みそにはなかなか理解が及ばない部分も多くあろうが
なんとかついてきて欲しいぞよ・・・!
さぁゆくぞっ、大哺乳類展・・・!!


今回のレポートは「オダイバ恐竜博覧会」レポと合わせて「ばらむツZ」7巻に(勝手に)収録予定なので
既刊を読んでお待ちくださいぞよ。


じゃん!
なんといきなりグロテスクなこちらは
「ローラアテリア 鯨偶蹄目カバ科 コビトカバ 表情筋と顔面神経の関係」ぞよ!
おーっ!
わたくしの大好きなコビトカバの中身ではないか・・・!
コビトカバの詳細や逸話にかんしてはアニアレビュー上野動物園レポートを参照のことですが、
ここではまず、展示の第1章「哺乳類とは」何かという事を論ずるためにこうして中身を剥かれて登場しているのだ。
「ローラシアテリア」や「鯨偶蹄目」など専門的なワードが出てきて難しそうだが、これは追々説明するぞよ。

さて、近代における生物の分類分けはスウェーデンの生物学者「リンネ」の「二名式命名法」に始まると言うが、
1758年にカール・フォン・リンネが「哺乳類」と名付けたこのグループは、

当初8目39属184種に分類されていたが、現代においては27目1332属6500種以上に分けられると言う。
かつて骨格や内臓、姿かたちで動物を分類していたものが、科学の発展により様々なまやかしが暴かれた結果、このように細分化したものであるぞよ。
おろかなにんげんどもが手に入れたその知恵こそ、DNA解析により生物同士の真の関係性を探る「分子系統学」なのである・・・!
この企画展では、見た目は似ているけど本質的には全然関係ない別の生き物と、
逆に見た目は似てないけど実は本質的には同じ生き物の関係を詳細に教えてくれる内容となっている・・・
会場では「見た目に騙されるな!」のワードが繰り返され、これこそが本企画展の最大のテーマとも言えるだろう・・・!!

「ローラアテリア 鯨偶蹄目ネズミイルカ科 イシイルカ 表情筋と顔面神経の関係」
そも哺乳類とはなんであるか?
おきつね族、おいぬども、そしておろかなにんげんども・・・みんなみんな哺乳類の仲間ぞよ。
一言で言えば、母親が乳を飲ませて子を育てる脊椎動物の一群・・・という事になる。
大きいおっぱい、小さいおっぱい、みんなもおっぱい、大好きぞよね!?
それは遺伝子に刻み込まれた本能からくるものなのだ・・・!
みんなみんな、子を乳で育てると言う分類形質を共有する仲間なのである・・・!!
そこでこのコビトカバとイシイルカの中身を見てみよう!
陸で生活するコビトカバも、水中生活者であるイシイルカも、全く別の姿をするが哺乳類の仲間である。
おろかなにんげんどもにとって、表情筋は笑顔や悲しみを顔面に浮かべる為の機能だが、
哺乳類的に言えば、これはおっぱいをちゅぱちゅぱする為に顔面に備わった力なのである!
哺乳類以外の脊椎動物にも表情筋の起源となる筋群は存在し、魚類にとってこれはエラを制御するもの。
両生類・爬虫類・鳥類では頸部を括約する筋肉として機能している。
哺乳類はこれを顔面に集中させる事で、効率的な哺乳を確立したというワケぞよ。

顔の皮下に30以上ある表情筋。
本来の目的はほっぺたの頬筋と口輪筋(唇)を使い乳を吸う為にある。
表情筋を支配する顔面神経は鼻、目、耳なども制御するが、
眼を制御する眼輪筋と神経の関係は生息環境によって異なると言う。

恐竜が地球上を支配したジュラ紀(約2億130万年前〜1億4550万年前)、哺乳類はほんのネズミ程の大きさしかない矮小な生命であった。
これが大繁栄し地上に君臨する事となった最大の要因は、メスの体内に子供を発育させるための胎盤を有した事にある。
恐竜は卵を外に産み落とすと、ほとんどの場合面倒を見ない。
これでは無事に成長できる個体が少なくなるので、それを補うため多産となった。
一方哺乳類は体内で受精卵の育児場である子宮内に胎盤を形成し、
ある程度子供が大きくなってから出産すると言う方法を取ったのだ。
上は「ローラシアテリア 食肉目アライグマ科 アライグマ 子宮」
アライグマは一度に3〜6頭出産する多産動物である。
したがってその子宮は育児スペースが広く作られている。
妊娠期間は60日間ぞよ。

「ローラシアテリア 鯨偶蹄目マイルカ科 カズハゴンドウ 外部生殖孔・子宮・乳首」
一方カズハゴンドウは一度に一頭の子供を宿す。
比較的大きく成長してから出産するので、こちらも育児スペースが確保できる子宮(両分子宮)を持つ。
妊娠期間は約一年ぞよ。

水中に生まれた脊椎動物は、爬虫類に進化して完全な陸上生活をものにしたが、
肘や膝を外側に突き出した腕立伏せポーズで体重を支え、体幹を左右にくねらせて歩くのは、魚類の泳法を引きずっている為である。
こちらの「ローラシアテリア 霊長目オナガザル科 アヌビスヒヒ」骨格を見て頂きたい・・・!
哺乳類は四肢を体幹の下に収める事で体重支持効率を飛躍的に改善する事に成功した。
肋骨が肺呼吸に欠かせない胸腔を確保する形だ。

哺乳類の頸椎(首の骨)は七個である、とはおろかなにんげんどもも聞いた事があると思う。
おろかなにんげんも、首の長いキリンさんも、その原始的存在とも言えるオカピちゃんも、首は七個の骨で支えられているのだ。
「ローラシアテリア 鯨偶蹄目 マイルカ科 ハンドウイルカ」
海洋生活する哺乳類も体骨格の基本構造はもちろん陸上哺乳類と共通する。
七個の頸椎のうち頭のいくつかは癒合し強度アップ。
尾は左右に振る魚と違い、上下に振る事で推進力を生み出すぞよ。

首の骨のいくつかがくっついているのが見えるぞよね!
基本構造は同じでも、哺乳類は様々な環境に適応し、それぞれ生存に有利な形質を備えるに至っている。

「爬虫類 オオトカゲの一種」
爬虫類は腕立て伏せのポーズで体重を支えており、
魚類同様体幹を左右にくねらせて歩行するが、地上では素早く移動しにくいのだ。

もう一つ、哺乳類の重要な特徴として挙げられるのは、耳の奥の「中耳」と呼ばれる部屋に3つの「耳小骨」を持つ事ぞよ。
これには外耳道から入った音の振動が鼓膜を揺らし、
中耳のツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨の順に増幅しながら内耳へと伝達する機能がある。
この骨が3つ揃っているのは哺乳類だけで、それもカモノハシなど原始的な単孔目を含むすべての哺乳類に共通する部位であると言うから驚きぞよ。
そもそも、哺乳類は哺乳類や爬虫類の祖先である単弓類・・・
ディメトロドンやエダフォサウルスなどを含む怪獣然とした奴らぞよね・・・!
から進化してきたのであるが、ツチ骨とキヌタ骨は、もともと爬虫類や単弓類の顎関節だったのである。
つまり、単弓類などでは下顎に受けた音を聴いていたのだ!
それが進化の過程で、この機能を捨て、上顎と下顎の別の骨の間で音を聴くものが現れた・・・それが哺乳類なのである。
そして、もともと関節だった部位を頭部の中にしまい、耳小骨として機能するように進化してきた・・・こういう背景があったぞよね!
「ローラシアテリア 鯨偶蹄目 マイルカ科 ハンドウイルカ 耳骨 耳小骨」
真ん中の骨が左からツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨となるぞよ。

「アフリカ獣目 長鼻目 ゾウ科 アジアゾウ 耳小骨」
地上最大の動物であるゾウの耳小骨は2センチ程度しかない。

次に体内に血液を循環させる臓器・心臓を見ていこう!
全身から二酸化炭素を集めた血液(静脈血)は心臓の右心房に戻り、右心室から肺に送られ、
ここで酸素を含んだ血液(動脈血)となって左心房へと戻る・・・これを肺循環と言うぞよ。
戻って来た血液は再び全身へと送り出され、酸素を供給、二酸化炭素を集めてくるとまた右心房へと巡る、これが体循環の仕組みだ。
この2経路は陸上生活に順応した哺乳類と鳥類で確立し、心臓は二心房二心室の構造となった。
例えば水中でエラ呼吸をする魚類や水陸両凄の爬虫類・両生類では2経路が不要、あるいは必須でないので、
魚類では一心房一心室、両生類と爬虫類(ワニを除く)では二心房一心室の心臓を持つのだ。
「ローラシアテリア 新無盲腸目 トガリネズミ科 チビトガリネズミ 心臓」
全哺乳類の中で最小級の哺乳類、チビトガリネズミは心臓も最小級ぞよ!
体のサイズと心臓の拍動数には相関関係があると言う。
おろかなにんげんどもは1分間に70回拍動し、このような小型齧歯類では1分間に600〜700も拍動すると言うから全然違う!

「アフリカ獣目 長鼻目 ゾウ科 アジアゾウ」
陸上哺乳類の中で最大級のアジアゾウは心臓も特大だ。
おろかなにんげんどもより大きいと言う事は・・・?
そう、拍動も少なく、1分間に20回ほど。

「ローラシアテリア 鯨偶蹄目 マイルカ科 カズハゴンドウ 心臓」
哺乳類共通の構造として、水中生活者でありながらやはり二心房二心室の構造を持つカズハゴンドウ。
水中適応の結果右心室は陸生哺乳類より内腔が広くなり、バレンタインハート型となった。

「ローラシアテリア 鯨偶蹄目 ナガスクジラ科 シロナガスクジラ」
上に飾ってある模型は1/50スケールぞよ。
これって科博のシンボルのシロナガスクジラの縮小模型ぞよね!
かわいいぞよ〜!

そんなシロナガスクジラの心臓は高さ166センチ、幅約130センチのビッグサイズだ!!
こちらは2014年にカナダのセントローレンス湾で死んだ個体から作成したレプリカ標本となる。
地球最大の動物であるシロナガスクジラは・・・潜水中は1分間の拍動はわずか2回・・・!

絶滅危惧種のシロナガスクジラの実物心臓から起こした標本など稀なものぞ。
これも勿論二心房二心室の構造を持つ、我々哺乳類の仲間と言う事がわかる・・・!!
なんでも一生涯で心臓が拍動する回数はある程度決まっていると言われ、
チビトガリネズミの寿命1〜2年に対し、アジアゾウは70年近いが、生涯で心臓が拍動する回数は両者ほぼ同じ・・・。
ってことは、心の凪いだ静かなにんげんより、毎日スポーツで心臓をドクドクさせているにんげんのほうが早死にするってワケ。
おろかなにんげんどもも、毎日カッカせず、心を穏やかに生きましょう・・・。

「爬虫類 カメ目オサガメ科 オサガメ 心臓」
爬虫類は基本的に陸上生活に適応した循環器系と心臓を持っており、
カメ・トカゲ・ヘビ類では両生類同様の二心房一心室だが、
ワニ類となると二心房二心室となる。
するとどちらかと言えばワニに近縁な恐竜も、トカゲより人間に近い二心房二心室の心臓を持つと言う事ぞよかな?

「軟骨魚類 カグラザメ目 カグラザメ科 カグラザメ 心臓」
完全水中生活のサメ類は一心房一心室の構造だ。
生き物によって心臓の構造は異なるが、哺乳類の仲間はみんな二心房二心室の共通点を持つと言う事だ!

「ローラシアテリア 食肉目 ネコ科 ヒョウ」
そもそも「種」とは何を指すのであろう・・・それはおろかなにんげんどもが生き物を勝手に仲間分けした区別でしかない。
これを語る上では、種とはなんであるのか、これをまず定義する事が必要なはずだ。
長くにんげんは、動物を見た目で区別してきた。
次第に骨格や内臓の形態も、判断材料になってきたぞよ。
しかし、別々の起源をもつ動物達も、似たような自然環境に適応していくと、そっくりな姿になる事がある。
そのフィールドに都合の良い形態を選んでゆくと、みんな姿が似てくる、これを収斂進化というぞよ。
つまり、見た目だけで判断していたら、全く別の動物を同じ生き物として分類してしまう間違いが起きてしまうかもしれない。
1990年代以降、おろかなにんげんどもはDNAの塩基配列に基づく分子系統解析により、
動物をもっと根本的・科学的に分類する知恵を身に着けた。
動物の事を調べてゆくと「分子系統解析」とはよく聞くワードぞよね!
そしてまた、もっとわかりやすい区分としては、そのものが繁殖して子孫を繋ぐ事が出来れば「種」と捉える事が出来る・・・というものがある。
アメリカの生物学者「マイヤー」が提案した「生物学的種概念」は、見た目で区別するよりはまずわかりやすい気がするぞよ。

例えば上のヒョウとこのクロヒョウは色違いで姿はやや離れているが、番わせると正常に子供を産む事が出来る。
するとクロヒョウはクロヒョウと言う種ではなく、ヒョウの変異個体であって種としてはヒョウと言う事になるぞよ。

「ローラシアテリア 食肉目 ネコ科 ライオン」
同じネコ科のライオンは、ヒョウとまずまず姿が似ている。
じゃあヒョウとライオンって同じ種なのか?と考えてみる。
二つの生物を番わせてみると・・・おっと、ちゃんと赤ちゃんが生まれたではないか〜!

それがこの「ローラシアテリア 食肉目 ネコ科 レオポン」ぞよ!
1959年と61年に阪神パークで誕生したお母さんライオンとお父さんヒョウの雑種がこのレオポンだ!
するとヒョウとライオンは同じ種類の生き物だったのだ・・・と思いきや!?
レオポン同士の交配や虎との三種間雑種を作ろうと試みたが何れも成功しなかった。
これはただの交雑種で、子孫を繋いでいく能力を持たない哀れな動物ぞよ。
つまり、ヒョウとライオンは別種である、と結論が出せる。

ライオンのような形態に、ヒョウ柄を備え、二つの中間種と言ったレオポン・・・。
このような雑種は基本的に繁殖能力を失っている事が多いぞよ。

例えば、アニメの世界でよく登場するおろかなにんげんどもとエルフ属の雑種をハーフエルフなどと言う。
このようなハーフエルフは・・・もし、人間とエルフが別種であるとするなら、子孫を残す事が出来ない可能性が高い。
例えば今放送中のアニメ「ダンジョン飯」に登場するハーフエルフのマルシルがこのような背景を持つぞよね!
う〜む・・・あのエピソードはきちんと生物学的に正しいのだ!
ダンジョン飯は実に知的なまんがアニメぞよ〜っ!

心なしかおめめが悲しそうなレオポン・・・。
こんな能天気な名前がついているのに、悲しい宿命を背負って生まれてきたのだ。
哀れぞよ〜っ!!

新種の動物を見つけたなら、論文を書いて発表すると新種記載できる!
が、これがとっても難しい・・・
まずその生き物を分類するところからはじまるのだから、専門の学者先生でなければできないだろう。
哺乳類を分類する時によく用いられる分類階級は
「網-下網-上目-目-亜目-下目-上科-科-亜科-族-属-亜属-種-亜種」とこのような階層になっているが・・・
ま、よくわからんぞよね!
「ユーラシアテリア 鯨偶蹄目 ウシ科」
左から「コンゴニハーテビースト」、「コンジハーテビースト」、「レルウェルハーテビースト」
動物を分類するうえで、もっとわかりやすいものでは、見た目の特徴はやはり大事ぞよ!
動物も別に超能力で相手が同種か別種か区別しているわけではない。
まずは目で見て交尾の相手を決めているのだ。
もし、子孫を残せない相手とばかり交尾していたら、エネルギーが全部無駄になってしまう。
だから動物はひと目に相手が同種であると区別できるように進化する。
もちろん、個体差はあるものの、このハーテビースト類などはツノの形を相手を同種と見分けるシンボルに利用していると考えられる。

これら3種はかつては亜種として分類されていたが、最近では独立種として扱うようになった。
また逆に、別々の種だと思われていたものがまるっと1種類に統合される事もままあるぞよ。

どんなに細かく分類しても、それは人が勝手に決めた区別なので、時には覆される事もあるのです。
最初からうっかり間違っていた事もあるし、技術が進歩してもっとよくその種への理解が深まって訂正される事もある。

ローラシアテリア 鯨偶蹄目に属する鯨たちのオスの歯の形の違い。
日本近海にいる4種「オウギハクジラ」、「イチョウハクジラ」、「ハップスオウギハクジラ」、「コブハクジラ」のもの。
なんでもオウギハクジラ属の鯨類は、オスの個体の下顎から一対の歯が萌出し、
メスへのアピールに活用すると言う。
身体的特徴としては、このような骨や歯を見てわかる事も多い。
例えば化石種では、骨や歯は残りやすいので、絶滅動物がどんな生活をしていたか探るヒントとしても使えるぞよ。
骨は動物を分類するうえで重要な要素なのだ。

ローラシアテリア 真無盲腸目 モグラ科のモグラ達の骨盤骨
モグラの骨盤は5個程度の仙椎と寛骨が癒合しているが、これは地下適応レベルを示すと考えられている。
モグラなんて見た目ではみんなそっくりだが、骨格を見るとそれがどのような生活をしているか考えるヒントを得られると言うワケだ。

もちろん骨だけでなく内臓も種を見分けたり、その繋がりを理解するうえで重要な部位ぞよ!
最初に見た通り、哺乳類は骨格や心臓に共通点を持つが、長い進化の歴史の中で、生活環境に合わせて各々体の作りを変化させてきている。
内臓の違いを見れば、その生き物の進化の道筋も見えてくる・・・こういう訳ぞ!
「鯨偶蹄目 マイルカ科 シワハイルカ / 食肉目 イヌ科 タヌキの脾臓」
これなどは、同じ部位だが形状が全く異なるぞよ。
タヌキの脾臓は一般的な哺乳類の形で、このような楕円形をして胃に付着している。
一方シワハイルカの脾臓は水圧や温度変化に対応する為、外部刺激を軽減できる球状になったのだ。
しかしアカボウクジラ科鯨類では、例外的に陸生哺乳類に近い膵臓の形状を示すと言うから、油断できない。

じゃあ見た目だけで種を判断して良いのか?
最初に述べたように、それだけで判断するのは危険な考え方ぞよ・・・!
世の中には見た目で区別できないそっくりな生き物も存在するのだ・・・!
かつて食虫目には、モグラやトガリネズミ、ハリネズミ・・・そっくりな様々の動物が含まれていた。

化石種も含めると、白亜紀にいた小型の食虫性哺乳類など、なんだかよくわからんので全部食虫目に放り込まれていた程だ。
ところが1997年にスプリンガーらがミトコンドリアDNAと核DNAを分析してみると、
これまで食虫目かに思われていたキンモグラやハネジネズミが、むしろ姿の全然違うゾウに近縁であるとわかったと言うのだ・・・!
これを皮切りに食虫目の分類見直しが行われ、
現在では旧食虫目のうち、ハネジネズミ、キンモグラ、テンレックらは「アフリカ獣類」
ソレノドン、トガリネズミ、ハリネズミ、モグラは姿は似ているが「ローラシアテリア 真無盲腸目」
やはり姿の似るツパイは上記の仲間でなく「ユーアーコンタグリレス 登木目」へと再分類され、
このうちローラシアテリアとユーアーコンタグリレスは「北方獣類」と呼ばれる・・・つまり、上の写真図が現代の考え方ぞよ。
これは姿や生活を元に分類していた昔の考え方では予想もしなかった事実だろう!

クジラやイルカは今から約5000万年前から6000万年前に、有蹄類のあるグループが水中生活に再適応した動物群ぞよ。
海に住まう事から古くは魚類と考えられた事もあったが、古代ギリシャ時代のにんげんどもは、
既に鯨類が哺乳類である事に気づいていた・・・とは、
アリストテレスの「動物誌」にも記されているから、当時のにんげんどももなかなか賢いものです・・・。
更に時は過ぎて1997年、東京工業大学の研究チームが分子系統学解析により、更なる事実を突き止めた!
なんと鯨類は偶蹄類に近縁・・・どころか、偶蹄類に分類されるカバと姉妹関係にある程近い動物だと言うのだ!
クジラとカバが姉妹とな・・・!?
確かにカバも水中で生活する哺乳類であるが・・・近いどころか本質的にそっくりな動物だったとは驚きぞよ。
こうして現在では偶蹄類と鯨類を含めた分類群名として「鯨偶蹄目」という名称が考えられ、世界中で支持されているぞよ。

DNAの結果に基づき鯨目と偶蹄目が統合されると、共通の特徴にも注目が集まるようになった。

例えばパキケトゥスなど鯨類の化石種と偶蹄類の足首にある距骨の関節には、
特徴的な滑車状の関節面が共通して見られる。

「ローラシアテリア 鯨偶蹄目 ウシ科 ウシ 肺」
ウシの胚には右葉だけに気管の気管支があるが・・・、

「ローラシアテリア 鯨偶蹄目 マイルカ科 ハンドウイルカ 肺」
鯨類のハンドウイルカには偶蹄類同様、やはり右葉に気管の気管支が分岐する。
なんで両者にだけこのような特徴が見られるのか、それは良くわからんが、
これが両者を統合するに至った形質の一つなのだ。
もっと研究が進めば、この様な形に至った理由も判明する事でしょう・・・!

「ローラシアテリア 鯨偶蹄目 キリン科 キリン 陰茎」
キリンのおちんちんはある程度大きさを保ったままの状態で
S字に折り曲げ体内に収納されている。
外敵に襲われないよう、一瞬で交尾を済ませる為の仕組みぞよ。

「ローラシアテリア 鯨偶蹄目 ネズミイルカ科 スナメリ 陰茎」
鯨類は大きいので外敵の危険は少ないが、水中での交尾はそもそも難しそうだ。
こちらもやはり交尾が一瞬で終わる一突き型陰茎となっているぞよ。
鯨類も偶蹄類も、一突き型の陰茎を持ち、一瞬で交尾を終わらせる事・・・生殖の方法も共通している!
キリンさんもイルカさんも、みんなみんな鯨偶蹄目の仲間だったぞよーっ!!
仲間が増えるととても嬉しい・・・少年漫画でもお約束だ!!


第2章その1

原獣類/有袋類/アフリカ獣類/異節類編へ続く→

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