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大哺乳類展3−わけてつなげて大行進(2024) 

レポート

 

▼上野で哺乳類の大行進を見よう! 大哺乳類展・徹底レポート!!

  •  ■春の上野・国立科学博物館

コンテンツ

 
 
第1章
哺乳類とは編
第2章その1
原獣類/有袋類/アフリカ獣類/異節類編
第2章その2
ユーアーコンタグリレス/ローラシアテリア編
第3章
わけてつなげて大行進編
第4章
哺乳類の分け方−過去から未来へ
科博巡り編
おみやげコーナー編
■第2章その1 原獣類/有袋類/アフリカ獣類/異節類編

おっと、哺乳類の系統樹が貼ってあるぞよ!
分子系統解析によって再分類された哺乳類達を系統樹にまとめると上のようになる。
掲示物の直撮りなのでやや見づらいが・・・

会場入り口で配っていたマップ裏にも同じ系統樹が載っていてこちらが見やすい!
カメラバッグに折り曲げてしまっていたので跡ついちゃってますがご愛敬ぞ・・・!
会場ではこのマップを貰って片手に歩くとわかりやすいだろう・・・!

ちなみに会場マップ表はこちらぞよ。

現生哺乳類で最初に枝分かれした物は原獣類(単孔目)ぞよ。
これはカモノハシとハリモグラ類で構成されるグループで、卵を産む事や、骨の構造が爬虫類に近いことからも、一番初めに分岐したと考えられるぞよ。
カモノハシは原始的な哺乳類・・・という事ぞよね!
次に枝分かれしたのは有袋類で、お腹に袋を持つ特殊な哺乳類群だ。
一方、それ以降に枝分かれした哺乳類達は、みんな胎盤を持ち胎児をお腹で育てる事で繁栄してきた動物達ぞよ。
まず初めに真獣類として分かれ、そのうちアフリカ大陸と南米大陸にいた初期のグループは、
これらの大陸が孤立している間に多様化し、それぞれアフリカ獣類異節類と呼ばれている。
残りの巨大大陸ローラシア大陸に棲んでいた真獣類の動物達は、ユーアーコンタグリレスローラシアテリアと言う2大グループに枝分かれし、
今日のわたくし達が良く知る哺乳類を形成するに至った。
哺乳類の分類分けは諸説あり、この系統樹は一説に過ぎないが、
原獣類、有袋類、アフリカ獣類、異節類、ユーアーコンタグリレス、ローラシアテリアという
6つのグループ分けはほぼ確定的で多く支持されている分け方ぞよ!
ここから展示は第2章「分類と系統-わけるとつなぐ」に突入するぞ!
:原獣類


「原獣類 単孔目 ハリモグラ科 ハリモグラ 全身骨格」
まずは最も原始的な原獣類の動物達から見ていこう!
近年の考え方では、古生代石炭紀の昔、両生類の中から陸上で産卵するものが出現し、
その卵に羊膜という胚の保護膜を持つものが、哺乳類の祖先である単弓類と、爬虫類の祖先である竜弓類に進化したと考えられている。
現生の単孔目の動物達は、単弓類から最も早く分岐した原始的哺乳類の末裔であるが、
水生適応や防御能力に特化して現代まで生き残ったものであって、中生代にはさらに多様な哺乳類達が存在したことを忘れてはならないぞよ。
現生原獣類は爬虫類などに見られる骨が残っており、現生種としては最も原始的であるが、
哺乳類の一番古い祖先と考えるのは間違いになるから要注意だ!

「原獣類 単孔目 ハリモグラ科 ハリモグラ 液体標本」
単孔目ハリモグラ科には4種が含まれる。
オーストラリアには肉食獣は少ないが、本種は防御のために針毛を発達させ備えた。
オセアニアに広く分布するぞよ。

「原獣類 単孔目 カモノハシ科 カモノハシ 骨格標本」
でたーっ!
カモノハシちゃんの骨ぞよーっ!!
わたくしは幼少の頃、オーストラリアで野生のカモノハシ見物ツアーに参加した思い出があるのだ。
その事はカモノハシの玩具レビュー以前にも書いたからここでは繰り返すまい・・・!
ともかくわたくしはカモノハシを気に入っており、これを目当てに本展覧会に足を運んだと言うワケぞよ。

「原獣類 単孔目 カモノハシ科 カモノハシ 液浸標本」
カモノハシのオスは後ろ足に毒爪を持つ。
これは攻撃の為の武器と言うよりは、同種間の小競り合いに使うもので毒も微弱ぞよ。
毒爪と言うとアニメやゲームではお馴染みだが、現生の動物の中に毒爪を持つものはほとんどおらず、カモノハシくらいなものだから珍しい。

ぶんにゅうっとビンに詰まっている・・・
もうちょいでかいビンなかったんか!?
まぁこれはこれで可愛い気もするが・・・死体だけど・・・。
:有袋類

「有袋類 双前歯目 カンガルー科 オオカンガルー 全身骨格」
続いて有袋類のコーナー。
オーストラリアにだけ生息するお腹に袋のある奇妙な哺乳類達のグループ、
とされがちだが、
実は南米大陸にも3目が現存しているぞよ。
最も古い有袋類は白亜紀後期の北米にいたとされるオポッサム形目の種である。

「有袋類 フクロネコ形目 フクロネコ科 フクロネコ」
お腹に胎児を抱えているフクロネコの液浸標本。
右下のちっこいのが取り出してみた胎児ぞよ。

お腹に白い赤ちゃん入ってるのわかるぞよか?
有袋類は現在7目に細分化されており、

南米産有袋類3目がオポッサム形目、小丘歯目、ミクロビオテリウム目
オーストラリア産有袋類が双前歯目、バンディクート形目、フクロモグラ形目、フクロネコ形目に分けられる。

「有袋類 フクロネコ形目 フクロネコ科 チャアンテキヌス 液浸標本」
このような細分化した分類となるとちんぷんかんぷんであろう・・・!
おろかなにんげんどもも、ここまで覚えずとも、知識として有袋類は細分化されていると言う事だけ脳みそに入れておき、
必要に応じてインターネットや図録でその都度調べる、これで良いとわたくしは思うぞよ・・・!
わたくしはな〜んも覚えてない。
いつも本を引いてさも知った風に書いているだけだ!!
わたくしは知識と知恵を外付けハードディスクに置いておくタイプの哺乳類なのです・・・!!

「有袋類 双前歯目 カンガルー科 アカクビワラビー 全身骨格」
埼玉県こども動物自然公園にはベネットアカクビワラビーが放し飼いされていて戯れる事が出来る。
こども動物自然公園にはオーストラリアにしかいない珍獣・クオッカちゃんが暮らしているなど、オーストラリア珍獣の楽園なのだ。
関東圏でオーストラリアの生き物が見たければ、埼玉に行くべしっ!!

「有袋類 双前歯目 フクロモモンガ科 フクロモモンガ 全身骨格」
フクロモモンガは双前歯目の有袋類で、皮膜を持ち空を滑空する事が出来る。
ん?
日本にも似たような動物がいるぞよね?
そう、フクロじゃないほうのモモンガだ!!
同じく皮膜を持ち、フクロモモンガとそっくりなモモンガやムササビは、ユーアーコンタグリレス齧歯目リス科の全く別な哺乳類であるが、
たるませた皮膚をぴんとはって滑空する・・・という結果を目指して効率的な姿に進化した結果、姿が全く似てしまったというワケである。
これは収斂進化の好例と言えるだろう!

皮膜を持つ哺乳類達。
ローラシアテリアの翼手目のコウモリも皮膜を持つ哺乳類だが、より飛行に特化しているぞよ。

「有袋類 オポッサム形目 オポッサム科 ハイイロジネズミオポッサム 全身骨格」
小型のオポッサム科の一種。
立派な袋は持たないが、有袋類の特徴である前恥骨(袋骨)を持つ。

有袋類の基本歯式は50本、
真獣類の基本歯式は44本となる。
進化した動物程歯は少なくなる傾向にあるみたいぞよ。

「有袋類 双前歯目 コアラ科 コアラ 頭骨」
コアラの頭骨は我らが埼玉県こども動物自然公園のコアラコーナーでも特集されていたぞよ!
常設だからおろかなにんげんどもも是非見にいってみてくださいね。

これも「見た目に騙されるな!」の例ぞよね!
みんな背中にトゲトゲの針を持つ哺乳類だが、
アマミトゲネズミとカナダヤマアラシはユーアーコンタグリレス。
ブラントハリネズミはローラシアテリア。
ヒメハンテレックはアフリカ獣類。
ハリモグラは前述の通り有袋類と、みんな近縁でない別のグループの動物ぞよ。
収斂進化でこのように進化の袋小路に陥り、同じような姿に最終進化したのだ。

「有袋類 フクロネコ形目 フクロオオカミ科 フクロオオカミ」
隔離されたオーストラリアで進化を遂げた肉食獣。
オーストラリアの閉ざされた生態系では無類の強さを誇ったが、
おろかなにんげんどもがローラシア起源の肉食真獣類を持ち込むととても敵わず、絶滅に追い込まれていったぞよ・・・。

「ローラシアテリア 食肉目 イヌ科 オオカミ」
原獣類、有袋類とはまた別系統にあり、残る哺乳類達をまるっとひとまとめに真獣類と呼ぶ。
真獣類の一つとして進化した肉食獣は、歯や骨格などより優れた特徴を有し、
祖先的な哺乳類を駆逐していったとされる。
少年漫画では愛と勇気の覚醒パワーでなんとかなったかもしれんが、現実の野生は非情ぞよ・・・!!

50本の歯を持つのが有袋類の基本歯式であり、これはキタオポッサムなどで観察する事が出来る。
左がそのキタオポッサム頭骨。
真ん中はローラシアテリアのイノシシのもの。
44本を超える事はない真獣類の基本歯式はイノシシなどの多くの哺乳類で見られる。
一番右はローラシアテリアのオオミミギツネの頭骨。
ふつう、歯の数は進化の過程で減少傾向にあるが、オオミミギツネは例外的で46本もあるぞよ。

「ローラシアテリア 食肉目 ネコ科 イエネコ」
原獣類が卵を産み、有袋類がお腹の袋に赤ちゃんを入れて育てるのに対し、
真獣類の哺乳類達は子宮で赤ちゃんを育て、体内である程度大きくしてから出産する。
この繁殖方法の違いから見ても、原獣類と有袋類がやや特殊な哺乳類で、先に枝分かれしたことがわかるぞよね!
この猫ちゃんの子宮を見て見ると、胎盤に赤ちゃん猫がしまってあるのが見える。
お母さん猫のお腹の中はこうなっていたんですね〜。

ここから本特別展の目玉展示である哺乳類大行進が始まっている・・・!
会場の真ん中を横断する様に200点の剥製がずらりと並ぶのだ。
会場では哺乳類を分類別に眺めながら、この大行進も一緒に見物して・・・という流れだが、
ここでまとめるにはやや情報量が多すぎる・・・!
という事で大行進は別ページで特集する事とする!
:アフリカ獣類

ハイラックス、ゾウなどを含むアフリカ産獣類は単一の祖先を共有し、
肋骨が多い事が共有形質であると言う。
「アフリカ獣類 ハネジネズミ目 ハネジネズミ科 ヨツユビハネジネズミ」

「アフリカ獣類 ハネジネズミ目 ハネジネズミ科 ヨツユビハネジネズミ 頭骨」
もともと食虫目とされていたが、実はアフリカ獣類の独立した目であった。
見た目だけで動物を分類する事は難しいが・・・そう言われてみると、ハネジネズミには盲腸があったり、
な〜んか食虫目とするには謎な特徴が多いな〜とか思われていたりもしたぞよ。
生物学的系統解析で答え合わせが出来た形だ。

「アフリカ獣類 アフリカトガリネズミ目 テンレック科 ハリテンレック」
ちっこいのはオナガテンレックだったかな?
ラベルを撮り忘れたぞよよよよ・・・。

「アフリカ獣類 イワダヌキ目 ハイラックス科 ケープハイラックス」
イワダヌキ目はハイラックス科のみから構成され、アフリカと中近東に3属5種のみが分布する。
見た目から古くは齧歯類と考えられたが、ゾウやジュゴンと同じ近蹄類と改められた。
このようなネズミ然とした生き物がゾウの親戚であるとは・・・昔の人は誰も思わなかったに違いない!!

「アフリカ獣類 イワダヌキ目 ハイラックス科 キボシイワハイラックス 頭骨」
そしてキボシイワハイラックスちゃん・・・!
わたくしが今注目している動物の一つがこちらだ。
骨だけど・・・!!
日本ではこれまでイワダヌキと言えばケープハイラックスが代表的であったが、
近年キボシイワハイラックスも飼育されるようになり、ネズミっぽいゾウの親戚として注目を集めているぞよ。
わたくしはやはり、埼玉県こども動物自然公園で見物し、その笑顔の虜になってしまったのである。
こども動物自然公園ではクオッカが最も可愛い動物とされているが、
わたくしが思うに笑顔ではキボシイワハイラックスちゃんも負けていない。
しかも全然注目されていないので、待ち時間なしでじっくり見る事が出来るのも嬉しい。
キリンテラス前のガラスの中にいるのでおろかなにんげんどもも是非会いに行ってみてくださいね・・・!!

「アフリカ獣類 海牛目 ジュゴン科 ジュゴン 全身骨格」
西洋の人魚伝説の元となった動物とされるジュゴン。
アフリカ獣類で草食性を示す動物群は、乳首が脇の下にあるぞよ。
子を抱きかかえて授乳する姿が、昔の船乗りには遠くから人魚に見えたのだろう。

「アフリカ獣類 管歯目 ツチブタ科 ツチブタ 全身骨格」
これもわたくしが気に入っている動物の一つ、ツチブタだ!
ツチブタは分類の上では現在1目1科1属1種の珍獣とされる!
顎に並ぶだるま型の臼歯形態が独特であると言う・・・。
なんでもエジプト神話において、性欲を象徴し戦争の神とされるセト神は、
壁画などで獣頭の神として描かれるが、この動物こそがツチブタであると言う・・・。
わたくしは原作と映画しか知らず後に脈々と続くシリーズ群は詳しくありませんが、
セトは遊戯王などでもモチーフになっているから、ひょっとしたらおろかなにんげんどもの方が詳しいかもしれませんね。
そんな事は別にどうでもよく、ツチブタはなんか間抜けで素朴な姿が愛らしいじゃないか〜・・・ってこれは骨ですが・・・。
剥製はあとで大きく写真を載せたいと思う。
上野動物園でも見物できるが、わたくしが行った時は暗所のうえオブジェの下に隠れて出て来ずよく見られなかったのだ。
ここでは骨格も剥製もじっくり見物できるから楽しいぞよ!

そんなツチブタの頭骨。
特徴的な歯の様子が見られるぞよ。

「ローラシアテリア 鯨偶蹄目 アマゾンカワイルカ科 アマゾンカワイルカ 全身骨格」
海牛目のジュゴンとの比較で並ぶ鯨偶蹄目のアマゾンカワイルカだ。
南米のアマゾン川流域に住まう淡水生の鯨類。
吻(口の先)が非常に細長く、歯も大きくとがっており、魚類などを噛み砕く事も出来る。

ここはおさわりコーナーでした。
左のアフリカ獣類・ジュゴンの肋骨とローラシアテリア・オウギハクジラの肋骨の重さを実際に確かめる事が出来たぞよ。
持ち上げてみると・・・ジュゴンの骨の方がずっしりと重い!
ジュゴンは海岸に近い浮力の小さな海域で暮らすので、肺を背中側に配置し、骨を重くする事で
水面で呼吸する時にバランスを取りやすい体に進化したのである。

「アフリカ獣類 長鼻目 ゾウ科 アフリカゾウ」
言わずと知れた動物園の人気者、鼻の長いゾウさんぞよ!
前述の通りハイラックスなどと共通祖先を持つ事が判って来た。

「アフリカ獣類 長鼻目 ゾウ科 アジアゾウ」
アフリカゾウもアジアゾウも長い鼻を持つゾウの仲間だが、
この二つが分岐したのは意外と早い段階ぞよ。
アジアゾウの方がマンモスに近縁とは有名な話だ。
:異節類

異節類 頭骨シリーズ。
南米大陸で多様化したと言われる哺乳類のグループ。
頸椎に独特の関節を持つと言う「異節」が共通点となっているぞよ。
被甲目と有毛目に大別される。
被甲目は全ての種で皮膚の内部に皮骨が形成され甲羅状をなす、アルマジロのグループ。
これはわかりやすいぞよね!

「異節類 有毛目 アリクイ科 オオアリクイ 全身骨格」
一方有毛目にはアリクイ類とナマケモノ類が含まれているぞよ。
こちらはアルマジロのような皮骨は持たないが、絶滅種の大型有毛目では皮膚に骨を形成するものもあったと言い、
化石種から繋がりを感じられる。

「有毛目 アリクイ科 ミナミコアリクイ」
このようなアリクイは有毛目のホンモノアリクイだが、オーストラリアには姿がそっくりな有袋類のフクロアリクイが棲んでいる。
シロアリさんを食うために進化していったら姿が似てしまった、つまり収斂進化ぞよ。

「有毛目 ミユビナマケモノ科 ノドチャミユビナマケモノ」
哺乳類の頸椎(首の骨)は七個が基本だが、ミユビナマケモノは例外でそれよりもっと多い骨を持つぞよ。


第2章その2

ユーアーコンタグリレス/ローラシアテリア編へ続く→

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