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| ■その3・チョウの扉 |

第3のエリアは「チョウの扉」!
ここではおろかなにんげんどもが最も好む昆虫であるところの蝶を特集しているぞよ!!

蝶とそっくりな生き物に蛾がある。
美しいものが蝶、地味なものが蛾・・・と言うのが一般の理解であろうが、
実は二つに明確な区別はなく、おろかなにんげんどもが勝手に雰囲気で分けているだけぞよ。
どちらも鱗翅目の動物で、本特別展では解りやすく「チョウ目」と言う言葉を使って説明しているぞよ。
従って巷で言われる蝶と蛾の見分け方・・・昼行性が蝶、夜行性が蛾、翅の開き方や身体つきでわかる・・・などなどは、
例外が多すぎてあまり当てにならず、ウソとは言わんが適当である。
蝶と蛾をぱっと見で区別する事はまず出来ないが、世界に16万種、日本だけでも6500種以上いるチョウ目のうち、
多くが蛾と呼ばれるので、なんか知らないチョウ目を見たら蛾と思って良いかもしれないぞよ。

ここで展示される拡大模型は約60倍拡大の「ウスバキチョウ」だ!
北海道中部高山帯・ロシア〜北アメリカの寒冷地に生息する
日本の高山蝶の代表格ぞよ!

幼虫は高山植物のコマクサを食べ、2回越冬して足かけ3年で成虫になると言う。
日本産は固有亜種ぞよ。

スケスケの翅が再現されています。

こちらが実物標本ぞよ。
翅がうっすらと透けていて儚くも美しいぞよね!
1965年に天然記念物に指定された為、現在では採集が禁じられた貴重な蝶であるぞよ〜。

蝶や蛾はチョウ目(鱗翅目)の仲間であり、蛹を経て成虫になる完全変態昆虫であるぞよ。
最大の特徴としては、翅をはじめ体全体が鱗粉で覆われている事があげられる。
鱗粉は体毛が変形して出来た極小の鱗の様な構造で、防水や防寒など様々な環境で役立つ能力を備えているぞよ。
もう一つの特徴としては、成虫の口器がストロー状の口吻になっている事があげられる。
これは非常に長く、通常はゼンマイのように巻いておいて、花蜜や樹液、果実、糞や動物の死骸を見つけると、伸ばして吸汁するのである。

このような口吻は顎状の口が変形してできたものぞよ。
原始的な蛾の仲間では他の昆虫と同じように顎状の口を持つ。
「コウモリガ」のように一部の種では成虫になると口が退化し、何も食べなくなるものもいるぞよ。

チョウ目(鱗翅目)の祖先は約3億年前の石炭紀後期に生じたと推定される。
チョウ目に最も近縁なのは現在のトビケラ目で、
かつて蝶の鱗粉はトビケラの仲間の翅を覆う毛が平たく変形して出来たものだと考えられていたぞよ。
ところが最近発見されたチョウ目とトビケラ目の共通祖先と考えられる化石からも鱗粉が発見された。
するとトビケラ目の翅の毛はむしろ鱗粉が細かく変化したものだとする説も唱えられるようになったぞよ。
現生の蝶や蛾のうち、最も原始的なものはコバネガの仲間で、世界中に分布する。
この姿はトビケラに近く、ぱっと見で区別の難しいものもある。

コバネガなど3つの科のガは成虫が顎状の口を持ちストロー状をしていない。
ストロー状の口を持つ蛾が登場したのは2億4000万年前の三畳紀と推定される。
この時期にはまだ蜜のある花を咲かせる被子植物が無かったため、もともとストローは水分を取る為の進化だったと考えられるぞよ。
殆どの鱗翅目の幼虫は植物を食って育つので、蝶もまた植物と共に進化・多様化してきたと言うワケぞ。

姿、色、鱗翅目は実に多様であり、昆虫採集でも特に人気がある。
翅の模様に地域性の変異が現れるので、コレクター欲をそそるのだ。
この「サツマニシキ」は日本で最も美しい南方系の蛾と言われるものぞよ。

現在蝶と蛾の仲間は130科に分類されており、日本にはそのうち90科以上が分布すると言うぞよ。

会場には様々の蝶を集めた標本箱がずらりと並んだ。
美しいもの、不気味なもの、奇怪な形態をするもの、実に多様な事がわかるぞよね!

「ヨナグニサン」は前翅長13センチ〜14センチ程もある日本最大の蛾で、
昆虫の中で翅の面積が最大の種としても知られる化け物の様な蛾ぞよ!
こんなのが夜にばさばさと飛んで来たらと思うと・・・ぞっとしちゃうぞよーっ!!

スズメガ科の「オオスカシバ」たち。
これはちびっ子に空飛ぶエビフライとして知られ、時にスズメバチやハチドリと勘違いされる事もあるが、実は蛾なのである。

世界の数多な蝶達。
まるでブローチのように綺麗ぞよねぇ〜!

やはり葉に擬態するもの、異性へのアピールで鮮やかになるものなど翅の模様にも数多ある。

シャチホコガの幼虫は特殊な形態をして、頭部を背中側に反らせる奇妙な姿勢を取る事で知られている。
この姿がシャチホコに似るので名前の由来となったぞよ。

このように、世界に数多羽ばたく蝶や蛾であるが、これらは分類上同じグループに含まれ、
その中でもアゲハチョウ上科という一つのまとまったグループとされる。
蝶と蛾は全てその祖先となる種から枝分かれしてきたのである。

前述したとおり、蝶と蛾をひと目に見分ける事は難しい。
一般に言われる見分け方には例外が多すぎて、あんまり当てにならないのだ。
蝶独自の特徴として、前脚の爪が退化する傾向があり、胸部の細かな骨格構造があげられると言うが、
ここから区別する事は至難の業であろう・・・!

熱帯に住まうトリバネアゲハは色彩の鮮やかな美麗な蝶であるぞよ。
オスの方が派手な色をするのに対し、メスでは地味な為に、雌雄別種と考えられた時期もあったほどだ。
なかでもこの「ヒレオトリバネアゲハ」のオスは後翅が極端に小さくひも状に変形しており、
飛ぶのがへたくそになっちゃった変わりものぞ。

日本で知られる鱗翅目6500種のうち、殆ど全て蛾で蝶は250種程度。
現在はアゲハチョウ科、セセリチョウ科、シャクガモドキ科、シロチョウ科、シジミチョウ科、
シジミタテハ科、タテチョウ科の7科に分類される蝶であるが、
このうちではシャクガモドキ科とシジミタテハ科は日本に分布しない種であるぞよ。

白と黄、そして赤の美しい「ベニモンカザリシロチョウ」
上下の色が逆だが、どことなくポケモンの「ボールのもようのビビヨン」を彷彿とさせて可愛いぞよ。
蝶は様々なキャラクターのモチーフとしても使われ、人々に親しまれているのだ。

そんな蝶は、2023年に発表されたばかりの論文によれば、約1億年前(白亜紀)のアメリカ大陸に起源を持つと推定されている。
9000万年頃までの温暖化極大期のあと、北米大陸からアラスカとシベリアの間(ベリンジア)を通ってユーラシア大陸に入り、
その後アジアとヨーロッパに広がっていったと考えられるのだ。

みんな大好きモルフォ蝶。
これは「レテノールモルフォ」と言う種であるぞよ。
やはり雌雄で姿が異なり、オスは青く光り輝くがメスは地味である。

蝶の中でもシャクガモドキは変わり者ぞよ。
蝶に含まれるが夜行性で、翅を広げてとまり、地味な姿をするとは蛾のような奴なのだ。
どうやら祖先では昼行性だったが、後から夜行性に戻った種である事がわかりつつあるが、
そこに至るプロセスはまだまだ謎めいており、関心を引く蝶であるぞよ。
近年ではセセリチョウ科に近縁とされる。 |

鱗翅目の仲間は熱帯から寒帯まで、南極大陸を除く世界中に分布しているぞよ。
日本では蝶と蛾を合わせて6500種以上が知られるとは前述したが、ヨーロッパ全体の鱗翅目が約9000種である事を考えると、
狭いながらも日本には多様な鱗翅目が溢れている事がわかるぞよね!
日本は南北に長く、温暖な気候から高山の様な寒冷地帯まで様々な環境が揃っている事。
また沢山の島からなる為に、島ごとに多様な生態系が保たれている事がその理由であるぞよ。
蝶の幼虫であるイモムシや毛虫は、好みの植物しか食わんので、その場所に生えている植物の違いでも種類が変わってくる事も大きい。

おっと、生体展示があるぞ・・・!
これは一見すると鱗翅目には見えんが、冬に出る「フユシャクガ」、
なかでも「フチグロトゲエダシャク」のメスであるぞよ!
ご覧の通り翅が退化して飛ぶ事が出来ない。
昆虫は変温動物である為、外気に体温が左右され寒いと活動できなくなる。
従って暖かい時期に出現するのだが、蝶や蛾の中には冬に出て成虫の姿で越冬するものもいるのだ。
フユシャクガはそんな寒い時期に成虫になる蛾の代表的なものであるぞよ。

フユシャクガ最大の特徴は、このようにメスでは翅が退化して飛べない事にある。
メスは成虫になると木の幹などに登り、腹部を曲げてフェロモンを出してオスを呼び交尾し、
大量の卵を産卵するのだ。
そして成虫では口が退化し食事をしない事も特徴であるぞよ。
寒い時期に飛んでエネルギーを摂取する事は非効率なのでやめ、
オスの方にやってきてもらい卵を産むだけとはストイックな奴だ!
それにしても、寒い時期の虫の成虫が夏に展示されているとは不思議な事です!
これは一度寒さを経験させた後に加湿すると羽化が始まる性質を利用し、
人工的に羽化の時期を操作したものであるぞよ。
虫の性質を利用してどんな時期にも実験用の成虫を作り出す事が出来るようになったってワケぞよね・・・!
季節外れだがまんまるぷくぷくで可愛いぞよね〜。 |

そんなフユシャクガシリーズ。
メスはみんな翅が退化して足の生えたイモムシと言うような姿をする。

翅の退化はフユシャクガ固有の特徴と言う訳ではなく、様々な蛾の中で見られる特徴ぞよ。
寒冷な時期や、厳しい環境で発生するものに多く見られるが、中には暖かい時期に成虫になる仲間の中からも翅の退化したものが見つかっている。
なんでもニュージーランドの離島にはオスもメスも翅の退化したものがいると言うぞよ。
一方で、蝶では極端に翅の退化したものは知られていない。

さて成虫ではこのように立派な翅を持って飛翔する鱗翅目たちであるが・・・、

幼虫の頃はイモムシや毛虫の姿をする完全変態昆虫であるぞよ。
つまり、卵から幼虫が生まれ、やがて蛹になり、そこから成虫になるのだ。
幼虫の頃は栄養を取って体を成長させる事に専念し、成虫になってからは空を飛んで結婚相手を探し出し、子孫を作る事に専念すると言うワケぞよね。
幼虫は卵から生れてくると、一生懸命食べ物を食べ始めるぞよ。
しばらくすると表面の皮を脱いで一回り大きくなる、つまり脱皮をする。
幼虫は脱皮を繰り返しながら2齢幼虫、3齢幼虫と大きくなってゆく。
蛹になる前の幼虫は終齢幼虫と言って、種によって脱皮の回数は異なるがアゲハやモンシロチョウでは四回脱皮した後に蛹になるぞよ。
つまり、終齢幼虫は5齢幼虫と言う事だ。
終齢幼虫は数日すると蛹になる場所に移動し、やがて萎んで動かなくなる。
この状態を前蛹と言い、またしばらくすると脱皮して蛹になるぞよ。
幼虫の中には成虫の体のもとになる成虫原基と言うものがあらかじめ用意されていて、蛹の間にこれが急激に成長する事で成虫となるのだ。
それにしてもこの箱の幼虫標本の実に見事で美しく保存されている事よ・・・!
フリーズドライの凍結乾燥標本ぞよかな?
形もだけど、模様や毛も綺麗に残っているぞよね!

毛虫やイモムシは実に不思議な姿をするものも数多いる。
角のあるモノや毒のあるもの、
「オオゴマダラエダシャク」のシャクトリムシではヘビにそっくりな見た目をして、擬態するものもいる。
左上の「アケビコノハ」の幼虫などは頭を丸め尾を立たせた奇抜な姿勢をして、一見すると何が何だかわからんぞよ。

鱗翅目の幼虫は植物の枝にくっついて葉を食べている事が多いが、
特に小型の種では葉を束ねて巣を作り、その中に潜んでいるものもあるぞよ。
中には枝に糸を吐いて巣を作り、沢山の幼虫が一緒に生活する種もある。
多くの蛾の仲間では蛹になる時に繭や蛹室を作るものがおり、最も有名なものでは「カイコ」は糸を吐いて繭を作る事で知られるぞよね。
カイコは絹糸の原料として、古くからおろかなにんげんどもと深く関わって来た虫であるぞよ。

「ニジオビベニアツバ」の幼虫は葉の表面に糸を敷き詰め、蛹室の側面と蓋になる部分に切り込みを入れ、
蓋と両側の縁に糸をかけながら閉じて、すっかり両側の閉じた巣を作る頑張り屋さんぞよ。

蛾の中には植物と絹糸を組み合わせたケースを作り、身にまとうものもある。
有名なものでは「ミノムシ」ぞよね!
これはミノガ科の幼虫で、日本ではおおよそ30種が知られる。

ミノガもやはり多くのメスで翅が退化している事があるぞよ。
こうしたメスは一生をミノの中から動けず、オスにやってきてもらって交尾し、ミノの中に産卵して死んでゆく。
奥ゆかしい虫がいたものぞ!

昆虫と植物の関係は実に密接であるぞよ。
ホソガ科に含まれる小型の蛾類「ハナホソガ属」らの幼虫の多くは、コミカンソウ科植物の種子を食べる。
中でもカンコノキの仲間につく幼虫は、それぞれ決まった種のカンコノキの種子だけを食べるぞよ。
ハナホソガの雌は夜になると活動し、口吻で雄花から大量の花粉を取り、それを雌花に受粉させると共に、雌花に産卵する。
やがてカンコノキは果実を実らせ、生れてきた幼虫はこれを食って育つが、全て食い尽くすと言う事はなく、いくつかの種子が残る。
つまり、お互いに利益のある共生関係が結ばれているのだ。

鱗翅目の幼虫の天敵には様々なものがあるが、菌やウイルスも深刻な天敵であるぞよ。
ウイルスの中には幼虫の行動を操る極悪なものもいるから恐ろしい。

昆虫に寄生したきのこは「冬虫夏草」と呼ばれ、有名ぞよね!
時におろかなにんげんどもはこれを漢方薬の原料として用いるが・・・果たして本当に効果が出るのか謎ぞよよよよ・・・。 |

蝶は様々な感覚に頼って生きている動物であるが、特に視覚を重要に使う。
蝶が派手な模様をし、種によって異なる斑紋を持つのは、視覚を頼りに異性を探している事の表れでもあるぞよ。
このような模様は鱗粉からなるが、蝶では人間には見えない紫外線も感知する事が出来る為に、
光の反射が同種を識別する目印になっているみたいぞよ。

また、このような斑紋は天敵から身を守る術でもある。
昼行性の蝶では鳥などの外敵に食べられないように、毒のある種では派手な色彩を纏ってその事をアピールする。
あるいは木や葉に擬態したり、目玉模様を作って天敵を驚かせるものもあり、その利用方法は様々ぞよ。
そしてまた、無毒な鱗翅目の中には毒のある種に擬態するものもある。
この箱では左が無毒なものだが、右の有毒なものに擬態しており、模様や色がそっくりぞよね!

会場には見た目のそっくりな中から別種を探すと言うクイズコーナーも設けられていたぞよ。

こっちは光の反射が異なるものが紛れているように思われるが・・・、

こっちなんか模様も色もそっくりでさっぱりわからんぞよ!!
おろかなにんげぇんっ!
キミは見分ける事ができたぞよかー!?

そして蝶や蛾は匂いも重要視しているぞよ。
本レポートの最初の方でも説明したように、蝶では卵を産む時に前脚で葉を叩いてその葉が幼虫に適したものであるかどうか探る事をする。
勿論、成虫では触角で匂いを探り植物を探しているぞよ。
交尾をする相手を探す時にも匂いは重要で、メスでは「性フェロモン」という物質を出してオスを誘引するのだ。
蛾の仲間ではメスよりもオスの方が触角がふさふさしている事が多いが、これはメスのフェロモンをかぎ分ける為に大きくなったと言う事であるぞよ。

そしてまた、音もまた重要な感覚の一つである。
特に夜行性の蛾では耳がよく発達しており、夜間の天敵であるコウモリの超音波などを聞き分けて攻撃から逃れたりもする。
音は種内のコミュニケーションとしても使われており、いくつかの種ではメスの性フェロモンに誘われたオスが超音波を出して答えると言うぞよ。
メスはこの超音波と、コウモリの超音波とを実は聞き分けておらず、どちらの場合でも硬直して動きを止めてしまう。
するとオスはメスを追いかけやすくなり、交尾の成功率が上がると言うのは、シンプルにも効率的な仕組みぞよね。

蛾の鼓膜器官は胸部、腹部の根元、前翅の根元など、仲間によって位置も形も異なるぞよ。
つまり、蝶や蛾の耳はその祖先の段階で進化したものではなく、それぞれが独立して別々のルートで進化し獲得したものであると言う事ぞ。
そして夜行性の蛾の耳は、コウモリから逃れる為に進化したものではない。
耳を獲得したのは白亜紀後期(約1億〜6600万年前)と推定され、コウモリが出現する以前の事だと考えられるからだ。
もともとは足音や羽音など、周囲の音に警戒する為に耳を発達させ、やがてコウモリの超音波を聞き分ける力を手に入れたのだろう! |

その4・クモの扉へつづく→
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